2012年6月15日金曜日

思えば遠くへ来たもんだ(四国編、其の一)

広島に別れを告げ夜の高速道路を東へ進む。目指すは四国。20代の頃は毎年の様に訪れていた僕にとって第二の故郷とも言える四国。始まりは大好きだった曾婆ちゃんが育った徳島の景色をこの目で見てみたいという自分のルーツを辿る旅だった。あの頃はお金は無かったけど沢山の時間があり、長い時は2週間親友と車中泊をしながら四国中を釣りしながら旅をした事もあった。


流石に朝早くから一日釣り歩いた体では一気に四国入りするのもキツかったので途中のサービスエリアで朝まで車中泊をする事に。陽が昇ってから瀬戸大橋を渡り香川県入りを果たし高速道路を降りたのが午前10時ちょっと過ぎだった。そのまま車を走らせて辿り着いたのが今回の四国行脚第一の目的である上野製麺所。実はこのお店Twitterを通して知り合いになった上野さんが営むうどん屋さんで、趣味でうどんを打つぐらいうどん好きな僕が四国に行ったらどうしても食べたかった讃岐うどんのお店なのだ。


午前10:30の開店を待ってガラガラっと戸を空けると沸き立つ湯気と天ぷらの香りが心地よく鼻を抜ける。直ぐにお辞儀をして「Twitterでお世話になってるシンドラーの酒向です。上野さんのうどんが食べたくて来ちゃいましたっ!」と言うとグツグツ煮える釜の横で上野さんは目を丸めていた。訳もない、事前に食べに行くとも一切言わずアポ無しでいきなりお店に飛び込んだのだから。広島に営業に行ったついでに四国に渡ったなどと言う話をしながらうどんを注文させて貰う。頼んだのは、かけ(小)180円と、ぶっかけ(小)250円。


色々話したい事はあったけども、写真だけ撮ってうどんが一番美味しいうちに直ぐに食べる。まず、一本つまんで真ん中を歯でぷっつり切り断面を楽しむ。うん、綺麗なアルデンテだ。角のエッジも利いて平均的な店よりちょっとだけ太い麺は完璧に僕好みだ。暫し無言で麺をすする。旨い。本当に美味しい物を言葉にする事はこんなに難かしい事かと思う程に旨い。出汁も最高に美味しい。醤油の塩分辛い濃さでなく、ダシが良く利いている濃さがある。なにしろお椀から立つ湯気の香りがとても上品だ。量も(小)にしてはかなりお得感のあるボリュームでこの後数件まわったうどん屋が結構キツい程だった。



うどんを食べ終え合掌をして、やっと上野さんと少し長くお話が出来た。上野さんも渓流LFをされていてどの辺りがいいのかを地図を広げ丁寧に教えて貰う。シャイな顔で笑いながら優しく話す上野さんの人柄に触れ、この性格がしっかりうどんに出ているなぁ〜と感じた。


なごり惜しかったが時間もそんなに残されて無かったので上野製麺所を後にし、有名うどん店を数件ハシゴしながら車は吉野川上流に進路を取る。次の目標は日本三大「酷道」439号を通る事。しかし、雲は次第に厚くなりフロントガラスには雨粒が落ち始めた。今思うとこの雨もこの道通るべからずと言う何か大きな力のお告げだったのかもしれない...

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